自然落下試験(対象:電子制御ユニット(ECU)・車載電装品)

電子制御ユニット(ECU)・車載電装品完成品・ユニットの環境負荷・機械負荷試験

自然落下試験(Free fall test)は、電子制御ユニット(ECU)や車載電装品が、製造後の輸送・物流時、車両組立時、または整備・メンテナンス(保守・交換)時に手元から落下した際を想定した機械的負荷試験です。特定の高さから製品を自由落下させ、地面との衝突時に発生する突発的な強衝撃に対する、筐体の耐破損性や内部部品の脱落・機能維持力を確認します。

国際規格 ISO 16750-3 4.3 や国内規格 JASO D014-3 4.3 に準拠し、製品を実際に梱包していない「製品単体(裸状態)」の状態で、規定の落下高・落下回数・落下方向を適用して評価を実施します。

対応規格

  • ISO 16750-3 4.3
  • JASO D014-3 4.3

電装品自体の質量(重量区分)や想定される取扱環境(製造・組立・整備時など)に応じて、適切な落下高さや落下方向を選択することが重要です。

評価目的・状態による分類

取扱・整備時落下試験(Handling/Maintenance fall test)

車両への取り付け作業中やサービス工場でのメンテナンス時など、作業員の手元(高さ1m前後)からコンクリート床や鉄板上へ不意に製品が脱落した状況を再現します。筐体カバーが割れて基板が露出しないか、内部のインダクタやコンデンサなどの重い電子部品が剥がれ落ちないかを確認します。

対応規格

  • ISO 16750-3 4.3.2
  • JASO D014-3 4.3.2

※ISO 16750-3およびJASO D014-3では、搭載位置や用途に応じてTest Ia~Test VIなど複数の試験条件が規定されています。本ページでは代表的な条件を掲載しています。

重量・取扱環境による分類と試験条件(規格詳細区分)

ISO 16750-3 4.3 および JASO D014-3 4.3 における落下試験条件は、搭載位置(Test I〜VI)ではなく、製品自体の「質量(重量)」や「取扱状況(サービス環境)」に応じて、以下のように落下高さや方法が細かく規定されています。

製品の質量(重量区分) 落下高さ 落下回数と落下の向き(試験条件) 主な評価目的
質量 10kg 未満
(一般的な車載ECU、各種センサー、車載ディスプレイ等)
1,000mm(1m) 合計 2回
(任意の異なる姿勢・面で実施、多くは最弱と想定される角・エッジなどを含む)
作業員や配送スタッフが手作業で扱う際、最も発生しやすい「手元からの滑り落ち」を想定。軽量かつ高密度実装された電子部品の耐衝撃性を評価します。
質量 10kg 以上 20kg 未満
(中型のパワーコントロールユニット、各種大型補機類など)
500 mm (50cm) 合計 2回
(任意の異なる姿勢・面で実施)
中量物のため、持ち運ぶ高さや移動エネルギーを考慮し、落下高さが50cmに調整されます。自重による衝突エネルギーが大きいため、筐体構造部の変形を防げるかを評価します。
質量 20kg 以上
(大型バッテリーパック、駆動用モーター、超大型電源ユニット等)
規定外
(または個別協議)
重量物に分類されるため、規定の手作業での自由落下ではなく、クレーン等での吊り下げ状態からの「傾斜落下」や「端面落下」など、別規定に基づいた専用の評価方法が適用されます。 機械を吊り上げて移動する、または複数人で持ち上げる際の突発的な傾き衝撃から、超重量製品の構造健全性を守る評価です。

試験条件設定時のポイント

自由落下試験の合格基準は、原則として「製品が破壊・変形していないこと」および「試験後に電気的な仕様を満たし、正常に機能すること」とされています。筐体の外観クラックがなくても、内部の微細なはんだクラックによる接触不良が発生していないかを事後測定で厳密に確認する必要があります。

自然落下試験は、実車に搭載される前段階(輸送、倉庫保管、車両組立、市場サービス時)の、手作業による取扱リスクから製品を守るための設計品質を担保する試験です。製品出荷後の不具合を防ぎ、あらゆるサプライチェーン上のプロセスにおいてECUの機能を確実に保護するための重要な評価基準となっています。

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