正弦波振動試験(対象:電子制御ユニット(ECU)・車載電装品)
電子制御ユニット(ECU)・車載電装品完成品・ユニットの環境負荷・機械負荷試験
正弦波振動試験(Sinusoidal vibration test)は、電子制御ユニット(ECU)や車載電装品に対して、一定の周波数または連続的に変化する周波数(スイープ)の振動を与え、製品の共振特性や構造的な弱点を特定・評価する機械的負荷試験です。エンジンや特定パーツの回転に伴う特定の周波数振動を模し、固定部の強度や内部部品の耐振性を確認します。
国際規格であるISO 16750-3や国内規格JASO D014-3、欧州OEM規格LV 124などに基づき、機器の搭載位置や使われ方に適合した試験条件を設定して実施します。
対応規格
- ISO 16750-3 4.1
- JASO D014-3 4.1
- LV 124(M-04等)
振動環境や評価目的に応じて、適切な試験方法を選択することが重要です。
評価目的・状態による分類
- 正弦波掃引振動試験(Swept sine vibration test)
-
あらかじめ規定された周波数範囲(例:10 Hz〜2,000 Hz)の間を、一定の速度で往復させながら連続的に振動を加える試験です。特定の共振点にとどまらず、幅広い帯域での耐性を評価し、筐体の破損やネジの緩み、接点の接触不良などを検出します。
対応規格
- ISO 16750-3 4.1
- JASO D014-3 4.1
搭載位置・規格区分(Test I〜Test VI)による詳細分類
ISO 16750-3 4.1 および JASO D014-3 4.1 では、ECUや車載部品が取り付けられる場所(車体、エンジン、乗員室など)によって、受ける振動エネルギーや周波数が全く異なるため、以下のように Test I 〜 Test VI の6つのカテゴリに細かく試験条件が規定されています。
| 規格区分 | 主な対象・搭載位置 | 試験の種類 | 正弦波振動試験における位置づけと主な負荷 |
|---|---|---|---|
| Test I | エンジン取付部品 (シリンダーブロック、トランスミッション、各種センサーなど) |
ランダム振動試験 + 正弦波振動(正弦波重畳型ランダムなど) | エンジンのピストン運動等による「特定の強い正弦波(サイン)」が、全体のランダム振動に重畳する最も過酷な環境を想定した試験です。エンジン回転数に応じた共振が発生しやすいため、正弦波評価が極めて重要となります。 |
| Test II | ギヤボックス取付部品 (トランスミッションコントロールユニットなど) |
ランダム振動試験 | ギヤボックスにマウントされる製品が対象です。主に広帯域のランダム振動が規定されますが、評価初期段階における筐体や内部基板の共振点を確認するために正弦波掃引が併用されます。 |
| Test III | 柔軟な結合部(アンダーボディ以外)にマウントされる部品 | ランダム振動試験 | 防振ゴムなどの柔軟な結合部を介して取り付けられる部品向けの試験です。振動伝達がマイルドになるため、過度な共振による破損を防ぐ設計がなされているかを正弦波で確認します。 |
| Test IV | 車体(スプリング上)マウント部品 (エンジンルーム内の隔壁、乗員室、トランクルーム、ドア内など) |
ランダム振動試験 | サスペンションより上に位置する、車体各所に搭載される部品が対象です。製品数が非常に多く、路面から伝わる多様な周波数に対して、特定の共振による不具合(ネジ緩み、筐体の割れ)が出ないかを検証します。 |
| Test V | スプリング下(サスペンション、ホイール周辺)マウント部品 (ブレーキセンサー、車輪速センサーなど) |
ランダム振動試験 | タイヤやアクスルなどスプリングより下にマウントされる製品が対象です。タイヤが路面から直接受ける突発的な大加速度入力に対する構造強度・固定強度の限界を評価します。 |
| Test VI | 悪路走行を想定した特殊な車載環境の部品 | サイン・ランダム(混合試験等) | 非常に険しい悪路を走行する車両向けの試験条件です。特定の突出した高レベルのサイン振動と、広範囲の衝撃ランダムを組み合わせた過酷なプロファイルで製品の物理的限界を試します。 |
試験条件設定時のポイント
正弦波振動試験を実施・依頼される際は、対象機器が上記の「Test I 〜 Test VI」のいずれに該当するかを特定し、規格で指定されている「掃引(スイープ)範囲」「加速度」「試験軸(X・Y・Z軸)」を正しく選択する必要があります。
正弦波振動試験は、製品固有の振動特性(共振点)を見極め、特定の周波数帯で発生する構造的な不具合を未然に防ぐために不可欠な試験です。設計初期の強度の検証から、要求仕様に基づく適合性評価まで、製品の構造信頼性を担保するために広く活用されています。
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