X線回折(XRD)とは

X線は電磁波の一種で、原子間距離と同程度の0.5~3Åの波長を持っています。X線が物質に入射すると、物質を構成する原子と様々な相互作用を起こします。電子による散乱分のうち、弾性的に散乱されるトムソン散乱は干渉性であるため、原子や分子が規則的に並んでいると、特定の方向でのみX線が観察されます。これがX線の回折現象です。

回折X線は、物質を構成する原子の種類や配列状態によって、物質特有のパターンを示します。

このX線の回折現象を利用して物質を評価する分析手法が、X線回折(X-ray diffraction:XRD)です。

X線回折を用いると、以下に示すようなさまざまな分析・測定が可能となります。
  • 定性分析(構成成分の同定)
  • 定量分析(構成成分の比率)
  • 結晶子サイズ
  • 結晶化度
  • 結晶性・配向性
  • 粒径や粒径分布
  • 分子構造・結晶構造
  • 残留応力
  • 薄膜の膜厚・密度・表面粗さ・積層構造・エピ膜の評価

X線回折法は基本的には非破壊分析であり、無機物質や有機物質の粉末や単結晶、高分子材料、タンパク質、金属部品、有機・無機半導体薄膜など、分析対象を選ばないため、物質の状態や物性を調べる手段として、研究や生産・品質管理の分野で広く利用されています。

X線回折には、試料の状態や測定目的に応じた特徴的な手法が多数あり、その利用方法も多岐にわたります。

X線回折の種類
粉末X線回折
多結晶体を試料とする測定法。得られる回折X線強度は、さまざまな方向を向いた微小結晶からの回折の総和となります。実測した回折パターンを既知物質の回折パターンと比較することにより、構成成分の同定が可能です。加えて各結晶相の積分強度を比較することで、定量分析を行うことができる。また回折ピークの広がりからは結晶子サイズを、回折ピークとハローの面積比からは結晶化度を調べることができます。
単結晶X線回折
単結晶を試料とする測定法。単結晶の各結晶格子面からのX線回折強度を測定しフーリエ変換することで、単結晶を構成する化合物の立体構造を決定することができます。新規合成物など、未知化合物の分子構造の決定に適しています。

そのほかに、薄膜解析、X線小角散乱、残留応力解析、X線回折顕微法(X線トポグラフ)などがあります。

(情報提供:株式会社リガク様)

X線回折(XRD)に対応可能な企業

X線回折(XRD)に用いる装置

関連規格

JIS A1481-3
建材製品中のアスベスト含有率測定方法-第3部:アスベスト含有率のX線回折定量分析方法
JIS H7805
X線回折法による金属触媒の結晶子径測定方法
JIS K0131
X線回折分析通則
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