イオンマイグレーション試験とは

イオンマイグレーション試験装置

イオンマイグレーション試験装置
J-RAS株式会社様 提供)

イオンマイグレーション試験は、高温高湿バイアス試験の一つであり、高温高湿状態で試料に電圧を印加し、絶縁性を評価します。

イオンマイグレーションとは、電圧印加と水分が存在すれば金属のイオン化がおこり金属イオンの移動が発生し、金属イオンの移動により金属または化合物が析出していく現象のことをいいます。
湿度の状態によってマイグレーションの発生状況は異なっており、高湿条件下で発生しやすくなります。溶解・析出が進行すると絶縁劣化を起こし最終的には短絡します。

イオンマイグレーション試験は、このイオンマイグレーションの起こりやすさを試験します。主にプリント配線基板や半導体パッケージ内の配線に、高湿条件下で電圧を印加して、イオンマイグレーションを評価するために用いられます。

イオンマイグレーションの発生条件
電圧負荷
電圧強度が増大すると、金属の溶解速度は大きくなります。高電圧回路や高密度回路は、電圧強度を増大させているといわれています。
湿度
高湿になるほど、材料への吸収が早まり、高温高湿条件ほどイオンマイグレーションは加速します。
温度
銅の溶解速度は温度に依存するといわれています。
イオンマイグレーションの発生に影響する要因
材料金属のイオン化のしやすさ
イオンマイグレーションの起こりやすさは、Ag>Cu>Pb>Sn>Zn>黄銅です。
絶縁材料の種類
絶縁材料によって、溶解速度は変化します。
イオン残差の存在
プリント配線板の製造環境で検出される塩素イオンや部品実装時に活性剤で使用されるハロゲン元素(塩素や臭素)といったイオン残差がイオンマイグレーションに影響するといわれています。
pH
銅は、pHが低い(酸性)であるほど、溶解度は高まるといわれています。
イオンマイグレーションの評価方法
簡易試験方法
電極金属や絶縁材料、イオンマイグレーション性を評価する方法で、溶液侵漬法、脱イオン水滴下法、ろ紙吸水法があります。
環境試験法
環境試験器中で電極間に直流電流を負荷して、短絡または絶縁劣化までの時間を比較する方法で、高温高湿試験温湿度組合せ試験温湿度サイクル試験、結露サイクル試験などがあります。
測定方法
製品の誤動作を確認する、電極間の絶縁抵抗値の測定、光学顕微鏡による外観観察、走査型電子顕微鏡(SEM)によるマイグレーション発生状況の観察などがあります。

イオンマイグレーション試験に対応可能な企業

イオンマイグレーション試験に用いる装置

関連規格

JIS C60068-2-30
環境試験方法-電気・電子-第2-30部:温湿度サイクル(12+12 時間サイクル)試験方法(試験記号:Db)
JIS C60068-2-38
環境試験方法-電気・電子-第2-38部:温湿度組合せ(サイクル)試験方法(試験記号:Z/AD)
JIS Z3197
はんだ付用フラックス試験方法
JIS Z3284-1
ソルダペースト-第1部:種類及び品質分類
IEC 61190-1-2
Attachment materials for electronic assembly-Part 1-2: Requirements for soldering pastes for high-quality interconnects in electronics assembly
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