分配係数測定とは

分配係数(P)とは、化学物質の性質を表す数値のひとつ。
物質の疎水性や移行性の指標となるもので、対象とする物質が、ある2つの相の接した系中で平衡状態にある場合を対象として、各相の濃度比またはその常用対数で示します。

最も広く使用されている分配係数は、オクタノールと水中での分配係数であり、一般的に対数値(logPow)で記述されます。

LogPowは物質の親水性・疎水性を判断する基礎的な数値として用いられ、医薬品の吸収率や生物学的利用能、薬物受容体との疎水的相互作用のモデル化、土壌や地下水中での移動予測などに利用されています。

化学物質審査規制法における新規化学物質の審査でも、分解度試験の結果が難分解性の場合、化学物質の濃縮性を調べる必要があり、生物濃縮性の判断にPowが利用されています。分配係数測定の結果が対数で3.5未満であれば高濃縮性ではないと判断されます。

化審法以外にも農薬の届出データとして使用されます。

分配係数測定方法には、フラスコ振盪法とHPLC法があります。

フラスコ振盪法

対象物質と2種類の溶媒を実際にフラスコに入れ、よく振りまぜる方法です。
フラスコ振盪法によるオクタノール/水分配係数の測定法は、「OECD Test Guideline 107」や「JIS Z7260-107」によって、標準的な方法が詳しく定められており、LogPowが-2~4(場合によっては5)までの試料に適用できます。

オクタノール中の濃度(Co)と水中の濃度(Cw)をそれぞれ求め、濃度比Co/Cw=Pow、またはその常用対数LogPowを分配係数とします。

フラスコ振盪法による分配係数の測定は、化学構造が未知の物質にも使用できるため適用範囲が広いが、平衡に達するまでの時間が長く、両方の溶媒に完全に溶解する物質にしか適用できないという欠点があります。

HPLC法

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたLogPの求め方は「OECD Test Guideline 117」に規定されており、LogPowが0~6までの試料に適用できます。

HPLC法による分配係数の測定は、既知物質のデータが揃っていれば、フラスコ振盪法よりも迅速に分配係数を決定でき、不純物等の影響も少ないが、水への溶解度が低いものやカラム担体と反応するもの、錯体など測定中に分解する可能性があるものには適用できないため、あらかじめ化学構造や物性がわかっている必要があります。

また、分配係数は既知試料データからの回帰分析によって算出するため、分配係数がわかっている複数の物質が必要なこと、構造が大きく異なる化合物では相関係数が異なり、比較しにくいことなどが欠点です。

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