誘導結合プラズマ質量分析とは
誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)は、製品や材料、医薬品や生体試料などに含まれる無機元素について、組成分析を行う手法の一つです。ICPはInductively Coupled Plasmaの省略であり、高周波誘導結合プラズマと訳され、発光分光分析法の一つの手法です。
高周波を用いてアルゴンガスを電離状態にし、高温(5,000~10,000K)のプラズマを発生させます。水溶液試料をネブライザで霧状にしてそのプラズマ内に導入して、プラズマのエネルギーを外部から与えると、試料中の原子がイオン化されます。イオン化された各原子を電場や磁場を用いて分離し、真空内に取り込む事で、各元素の濃度を測定し質量分析を行います。
グロー放電質量分析は溶液化の前処理が不要で、直接分析が可能だが、誘導結合プラズマ質量分析は前処理が必要で、水溶液中の測定が可能です。
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES/ICP-AES)も同様の手法であるが、大きな違いは試料に含有されている成分元素(原子)を励起し、元素特有の発光線(スペクトル線)を測定することで、元素の定性分析、定量分析を行うのが誘導結合プラズマ発光分光分析です。
- 誘誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)の特徴
- 特徴
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- 同時に多元素の分析が可能(Li~U)(希ガス等の一部の元素を除く)
- 超高感度(ppb~)
- ダイナミックレンジが広い(ppb~数100ppm)
- 長所
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- 検出下限値が良い(水溶液の場合pptレベルまで測定が可能)
- 質量分析なので同位体分析が出来る
- 短所
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- 原子量が80以下の元素は、Ar及び主成分由来の分子イオンの質量干渉を受けやすい
- 用途
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- 金属(鉄鋼、非鉄)、食品、環境(水道、環境水、排水)中の微量元素の定性・定量分析
- RoHS対応(Pb、Hg、Cd、T-Cr、Br)
- レアメタル・レアアース分析
誘導結合プラズマ質量分析に用いる装置
- 誘導結合プラズマ質量分析装置
- アルゴンガスの誘導結合プラズマを光源とする発光分析装置で、試料原子をイオン化して、このイオン化された原子を真空内に取り込み質量分析を行う装置。
関連規格
- JIS K0133
- 高周波プラズマ質量分析通則
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